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2024.10.30 パート・ド・ヴェール基礎科

パートドヴェール令和6年度夜間コースの作品

7月から始まったパート・ド・ヴェールの授業。最終日は今まで作った作品を教室に展示し、講評会を行いました。

パート・ド・ヴェールでは、まず最初に石膏型を作り、その中にガラスの粉や粒を詰めて焼成します。作品の形によって(一つの塊なのか、器なのか、突起があるかないか等)さまざまな石膏型の制作手法があり、夜間コースでは1年目に基礎的な型を、2年目に応用的な型を学びます。

夜間基礎科1年生の作品

1年生は、オブジェやシンプルな器(脚やレリーフ模様のない器)の制作を学びました。

点心セット

最も基礎的な「オープン型」や、少し入り組んだ塊を作るときに用いる「割り型」などの手法で作っています。

上の肉まんは、無色のガラスの粉を詰めて焼成し不透明な白をつくったもの。左の桃饅頭は、先端のみにピンク色のガラスの粉を混ぜて焼成。右は、緑色のガラスの粉を全体的に混ぜ込んで焼成した翡翠餃子。

粉末状のガラスだと不透明になりますが、より大きめのガラスの粒を使うと透け感を出すことができます。上の青い作品の先端が透けているところが、大きめの粒を使ったところ。
タイトルが「日光浴」とありますが、これは日光浴をしているときに頭が空っぽになり輪郭があいまいになっていく様子を表現しているとのことです!

いちごのレリーフプレート。いちごの形の部分だけに色がつくようにするにはガラス量をきっちり計算する必要があります(ガラスの粉はかさが大きいので、山盛りの状態で焼成しても、仕上がると小さくなります。この縮み具合のデータをもとにガラス量を計算します。)計算しなければ赤色が溢れすぎたり、逆にいちごに白が入り込んだりします。

ちなみに講評会では、作った作品の展示方法も重要な評価対象です。

研究熱心なこちらの学生は、研究テーマを記したキャプションやデザイン画などを添えて展示しました。

ロッカー内に独自の世界を作り出した学生も。

作者によるとこれは、天国か地獄どちら行きかの判断が下される場所だそうです。一番上の黄色い人が「!」マークのオブジェの方を向けば、一番下にいる三角柱の人は天国へ行けるとか……!

夜間基礎科2年生の作品

2年目ではより応用的な型の取り方を学び、装飾的な器や蓋物などを制作しました。

気泡の表情が美しい蓋物。

気泡は、ガラスが溶けていくときに粒と粒の間に空気が閉じ込められることで生じます。
より細かいガラス粒を使えば、気泡がより小さく多くなるので、不透明感が増します。

雲のようなやわらかい表情の器。

このように表面に立体的な装飾をした器を作るときは、「プレス型」という、二つの石膏型でガラスを押しつぶすような型を用います。充填するガラスの量や上にくる型をどれくらい重くするかなどによって器の分厚さが変わってしまうので、かなり厳密な作業が求められます。

貝をかたどったリップケース。
昔から貝合わせや口紅入れなどに使われていたハマグリをガラスにしてみたということです。

基本的にパート・ド・ヴェールでは粘土に石膏をかけて型を取ることが多いですが、自然物に石膏をかけてみるのも面白いです。

しかし、見た目以上に複雑な制作工程です。「貝にかけた石膏が固まったら、貝を取り出してガラスを詰めて焼成する。」と聞くと簡単に思えますが、石膏にダメージを与えずに硬い貝を取り出すのは至難の業なので、複数回型を取ってそれを組み合わせて……などたくさんの工程を経てやっとリアルな貝の型が取れます。

2年生は、通算4か月ほどのパート・ド・ヴェール授業が終了しました。ガラスをゼロから形づくる技法を習得した皆さん、ぜひこれからの作品制作に活かしてください!

夜間のみなさん、頑張りました

原形制作・型取り・焼成・加工など、ひとつの作品を作るのにかなり多くの工程があるパート・ド・ヴェール。
限られた時間の中で最大限に能率を上げ作品を仕上げた夜間のみなさん、お疲れさまでした!

(全日制コースの作品はこちら

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